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[ エレクトロニクス ]
(2017/1/6 05:00)
東芝は半導体メモリーの新工場を建設する検討を始めた。建設地はメモリー工場がある三重県四日市市と受託生産事業の拠点がある岩手県北上市を軸に調整しており、四日市では土地の買収交渉を始めた。早ければ2019年の着工を目指す。東芝は米国の原子力発電事業で、数千億円の減損損失が発生する可能性を明らかにしている。半導体事業の分社化を選択肢の一つとして、資金確保にめどをつける意向。週明けにも経営再建に向け金融機関と本格的な協議に入るとみられ、成長の柱となる同事業で将来への布石を打つ。
新工場では3次元(3D)構造のNAND型フラッシュメモリーを生産する見通し。すでに四日市工場(三重県四日市市)の第5製造棟に隣接する土地について地権者と買収交渉を始めた。
メモリーの生産は四日市工場に集約しており、生産効率を考慮し同工場に新工場を建てる案が有力だ。一方で半導体受託生産を手がける子会社のジャパンセミコンダクター(岩手県北上市)にも遊休地があり、候補の一つとなっている。
稼ぎ頭である半導体メモリー事業は、東芝の収益を支える屋台骨だ。事業の維持、成長には継続的な投資が欠かせない。東芝は半導体事業を分社、上場する構想も議論するなど、事業ごとの採算性や成長性を見極めつつ、成長分野での資金を確保していく考えだ。
3D構造のNAND型フラッシュメモリーは、大容量化や書き込み速度の向上などが見込める。東芝は16年7月に四日市工場で新製造棟の稼働を始め、17年2月には第6製造棟も着工する。メモリー事業は最大手である韓国サムスン電子との競争が激化しており積極投資を続ける構えだ。
足元では15年から続く不適切会計で財務が毀損した状態が続く。米国原子力発電事業の減損の規模によって財務基盤がより悪化する恐れもあり、慎重な見極めが必要になる。
(2017/1/6 05:00)