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[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/9 05:00)
東京大学大学院農学生命科学研究科の難波成任教授らは、植物に感染したウイルスが植物細胞に備わるたんぱく質合成機能を巧みに使い、感染領域を拡大する新たな仕組みを発見した。モデル植物のシロイヌナズナの実験で、「翻訳」と呼ばれるたんぱく質合成過程の開始に関わるたんぱく質「nCBP」を、植物ウイルスが利用することを突き止めた。
nCBPを働かなくさせてウイルスの感染を食い止める防除法への応用を見込む。具体的には全遺伝情報(ゲノム)を自在に書き換る技術「ゲノム編集」を使った品種改良などを想定。成果は英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
遺伝子改変によりnCBPの機能を失ったシロイヌナズナにウイルスを接種した。その結果、ポテックスウイルスなどのウイルス3グループの感染阻害を確認できた。nCBPがないと、ウイルスが隣の細胞へ移るのに必要なたんぱく質がうまく作られず、感染が広がらないことが分かった。植物の生育には影響しなかった。
これら3グループにはジャガイモ、トマトなどの食物や、キク、ラン、ユリなどの花に被害をもたらすウイルスが含まれる。
(2017/1/9 05:00)