- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/9 05:00)
英ヨーク大学電子工学科の廣畑貴文教授は日本電子と共同で、走査型電子顕微鏡(SEM)を使って、非破壊で接合面を評価する手法を開発した。一般的に接合面の観察に使う透過型電子顕微鏡(TEM)は解像度は高いものの、断面を機械的に削る必要があり、試料の歪みや汚損などが避けられなかった。強磁性体と非磁性体金属との接合面の破壊過程の解明などにつながる。
素子の観察に広く使われている通常のSEMの加速電圧を制御し、電子線の試料への侵入長をコントロールすることで、評価したい界面からの背面反射電子を検出する。これにより、素子の表面から深さ方向に100ナノメートル(ナノは10億分の1)まで連続的に内部構造を観察できる。
界面の評価は従来、素子の断面の試料をあらかじめ作製した上で、TEMで観察するのが一般的だった。開発手法を使えば、TEMに近い解像度を持ちながら、素子を加工せずに、表面から、埋め込まれた接合面を簡単に評価できる。
界面の欠陥などが伝導特性に大きく影響する強磁性体と非磁性体金属との接合面の観察に適用すれば、ナノスケールの素子の伝導特性を詳細に評価可能。半導体と金属の接合面、および金属と絶縁体の接合面も観察可能で、半導体素子の品質評価などに使える。
今後は、SEMの内部で素子に電流をかけ、接合面の挙動をその場で観察する手法の開発を目指す。
(2017/1/9 05:00)