[ 機械 ]
(2017/1/9 05:00)
日本鍛圧機械工業会(日鍛工)は鍛圧塑性加工技術の総合力を顕彰する「MF技術大賞」に、アイダエンジニアリングとシャルマン(福井県鯖江市)の「β型チタン合金製部品の一体成形〜サーボプレスで成し得た工程削減〜」など3製品を選んだ。また、「MF技術優秀賞」に3製品、「MF奨励賞」に4製品を選んだ。表彰式は11日に芝パークホテル(東京・芝)で開く。受賞機械・製品は、7月12日からの鍛圧機械の国際見本市「MF―Tokyo2017 プレス・板金・フォーミング展」(東京ビッグサイト)で披露する。受賞企業、概要は次の通り。
《アイダエンジニアリング、シャルマン/β型チタン合金製部品の一体成形〜サーボプレスで成し得た工程削減〜》
サーボプレスモーションの利点を活かし、11工程を削減した。特に1ストローク中にスライドを上下させ、材料の流動性を高めた。下死点を複数回通過させるモーションで寸法精度を確保したことなども評価。また、材料自体の削減と金型寿命の延長などが得られる。
《エイチアンドエフ、ホンダエンジニアリング、ホンダ/レーザーブランキング装置による自動車部品ブランク材製造》
ブランク材製造を、自動車量産ラインに導入できるレーザーブランキング装置を開発した。プレスの高速性に対抗するためにレーザーカット自体の高速化、切断品質精度を保つためのカットと同期したスパッタ回収装置の開発など、技術的独創性、新規性に富む。金型ゼロの実現、設置のコンパクト化など経済、環境面のメリットも評価された。
《日本スピンドル製造、日産自動車/フローフォーミングによるローターシャフトの製造》
ハイブリッド車(HV)の軽量化とコスト削減を目的に、鍛造加工と切削加工に替わる工法開発に取り組み、円盤状材料の裂開工程による増肉効果、平押し工程で十分な板厚を確保しながら軽量化を実現した。これまでの熱間鍛造・機械加工工程の短縮、コンパクトな生産ラインにしたことも評価された。
《MF技術優秀賞》
【コマツ産機、服部板金工業/3Dレーザー加工機によるチタン製自動車用フレーム加工】
チタン材加工には材料加熱後に成形加工していたが、常温での成形技術の開発で電炉を不要にした。トリミングでのレーザー加工は高価なアルゴンガスを使用してきたが、安価な窒素ガスでの加工を実現した。
【コマツ産機、宮本工業/冷間鍛造用サーボプレスによるサスペンションマウントの工程短縮】
メカプレスによる工程は、予備成形、焼鈍処理、仕上げ成形だが、冷間鍛造サーボプレスによる多段モーションを採用し、1工程にした。1個当たりの生産時間を47・8秒から12・5秒へと短縮し、約60%のコストダウンを達成したことが評価された。
【村田機械、田中精密板金/複合加工センサーを用いたファイバーレーザーによるブラケット加工】
レーザーパンチ複合機単体での生産から、タレパンとファイバーレーザー加工機による複合加工を導入し、大板1枚から72個取りの加工において、生産時間を845分から106分に87%の時間短縮を実現。接触式複合加工センサーの開発とシート基準穴とパーツ基準穴を設定する計測方法を工夫した。独創性、精度が評価された。
《MF奨励賞》
【アイダエンジニアリング、エクセディ/サーボタンデムプレス7台によるダンパー部品のプレス加工】
サーボタンデムプレス7台による7工程連続加工。ワーク搬送を工夫した。偏芯荷重がかからない加工で品質を向上。チョコ停排除で稼働率を高めた。
【アマダホールディングス、アマダマシンツール、デンソー機工/ツインサーボプレスと高速タンデムトランスファーラインによる自動車エアコン用ハブ加工】
1台プレスによる11工程を、2台のプレスで14工程に増やすことで荷重を分散化した。シャトルの設置で混流生産にも対応。分散することで製品精度を向上させた。
【コマツ産機、アイシン精機/サーボプレスによるクラッチディスクのかしめ加工】
従来の油圧プレス加工から加圧力制御機能をもつサーボプレスに置き換え、品質と生産性を高めた。省エネ、騒音低減も実現した。
【川崎油工、トーセン、岩手大学】
高水分率の木質チップを予備圧縮し、凝集体チップの水分を複動圧縮で搾出する。在来の天然乾燥や、熱乾燥炉に比べ、大幅な省エネを達成した。
(2017/1/9 05:00)