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未来を拓く日本力(9)超小型衛星ビジネス−宇宙開発、新たな段階に

(2017/1/19 05:00)

  • 22年までに50機を軌道上に配置する予定のアクセルスペースの超小型人工衛星グルース(アクセルスペース提供)

  • グルースを大量に軌道上に配置したイメージ(アクセルスペース提供)

【裾野広がる】

宇宙航空研究開発機構(JAXA)や、三菱重工業などが取り組んできた宇宙分野にベンチャーや大学などが参加しやすくなり、宇宙開発の裾野が広がっている。その中で注目されるのが人工衛星やロケットの小型化だ。多くのプレーヤーが参加する宇宙開発は新しい段階を迎えている。

2003年に世界でいち早く、手のひらに載るような小型サイズの人工衛星「キューブ・サット」を打ち上げたのは東京大学と東京工業大学の日本の研究チーム。その後、海外でも超小型衛星の開発に火が付き、欧米を中心に超小型人工衛星のビジネスが盛んになっている。産学連携により、日本は強みとなる超小型衛星技術の強化を目指している。

100キログラム程度以下の超小型衛星は、初期投資として開発費はかかるが、機体のコストを抑えられ開発期間も短い。またロケットに多くの超小型衛星を載せれば、打ち上げコストも下げられる。量産化した超小型衛星を大量に打ち上げることも可能になる。

【道のり険しい】

しかし、実用化への道のりは険しい。15日、JAXAは民生部品を利用した世界最小クラスの超小型ロケット「SS―520」4号機を打ち上げたが失敗した。ロケットに搭載した超小型衛星の開発代表である中須賀真一東大教授は「今回のプロジェクトは挑戦的な取り組みで継続することが大切」と強調。日本における今後の小型ロケットの開発に期待をかける。

企業の事業参画意欲は高い。小型衛星の製造・販売を手がける宇宙ベンチャーのアクセルスペース(東京都千代田区)は17年中に最初の3機を打ち上げ、22年までに超小型衛星50機を地球周回軌道上に配置する計画だ。

グルースと呼ばれる超小型衛星が地球の陸地の約半分を毎日撮影。その地表画像をもとにデータを分析し、顧客に提供する。

【可能性を模索】

農業生産者による農作物収穫高の見積もりや、インフラ事業者がプラントを遠隔監視するなどの用途を想定。中村友哉代表取締役は「農業や都市計画などに利用できるプラットフォームを作りたい」と意気込む。

現状、宇宙関連ベンチャーは米国に1000社ほどあるが、日本では10社程度。中村代表取締役は「プレーヤーが増えユーザー層が厚くなることで産業化につながる」と日本の宇宙ビジネスの可能性を模索している。

(冨井哲雄)

(2017/1/19 05:00)

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