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[ 中小・ベンチャー ]
(2017/1/27 05:00)
「外巻き」で手作業の10倍
舌を巻くほどの高効率―。携帯電話や家電、スーパー、外食など多店舗展開する企業は、新商品を販売促進するため、さまざまな種類の店舗掲示ポスターを何度も印刷して各店舗に発送する。ただ、ポスターに折り目が付いてしまうと価値が下がるため人手で巻いており、作業にかかる人件費と時間が課題だ。
これに対し、印南製作所(東京都足立区)の「全自動ポスター巻き機」は、A3サイズからB1サイズまでのポスターを毎時600枚のスピードで巻き取る。手作業の10倍という高速処理を提供し、作業時間の短縮と人件費の大幅削減を実現する。
開発したのは、大手電子商取引(EC)サイトからの依頼がきっかけ。容易に開発できると踏んだが、印南英一社長は「巻き取り方法で開発にあたった社員はかなり悩んだ」と振り返る。
手作業の場合、内側から外側に向かって巻くのが一般的だ。だがこれを機械化すると、キッチリ巻けない。そこで発想を転換し、外側から内側に巻くアイデアにたどり着いた。4本ロールを用いて巻き取る外側を固定し、内側は可動式仮芯棒を横から挿してガイドする機構を開発した。
給紙方法も課題だった。紙を垂直に吸い上げる機構だと、2枚取ってしまうことが度々あった。「吸盤の吸収力を弱める工夫もしたが、扱う紙質や大きさで変わる」と木村昌夫製造部部長。そこで給紙部の上側に順回転、下側に逆回転ローラーを設け、2枚取りを防ぐことに成功した。
これにより、最大500枚のポスターを給紙ユニットで確実に1枚ずつ送り出し、ポスターの末端2カ所に巻き留めテープを貼付した後、巻き込みユニットで直径35ミリメートル程度に巻き取ってテープ留めし、排出する一連の動作を完成。テープにはQRコードを印字し、巻いた後でもポスターの中身や配送先情報を確認できる。
潜在的なニーズを浮かび上がらせ、ニッチ市場を開拓した同製品。将来は海外展開も見据えている。
(茂木朝日)
【製品プロフィル】
手作業の10倍で毎時600枚のポスターを巻き取る業界初の全自動機械。ポスターを外側から内側へ巻く機構を考案。給紙部の上に順回転、下に逆回転ローラーを設け、2枚取り防止機構を搭載した。ポスター後端を自動検知し、巻き留めテープで貼付。テープの一方にQRコードを印刷できるようにしたことで、巻き取り後の内容を識別できる。
(2017/1/27 05:00)
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