- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2017/1/27 05:00)
筑波大学の理系の学生を中心とする研究グループは、軌道上にある約1・3キログラムの超小型衛星「結2号」からの電波を世界に散らばるアマチュア無線家らが受信し、インターネットを通じて受信情報を世界中から集める「結プロジェクト」を進めている。
16日の軌道投入後、衛星との交信を確認した。すでに世界50カ所以上から衛星電波の受信報告を受けた。実施責任者の亀田敏弘准教授は、「衛星が大気圏に突入するまでの約半年間、数百円のアンテナで誰でも電波を受信できる。衛星のデータをキャッチするという体験を世界中の人々と共有したい」と参加を呼びかける。
このほか、展開不要の小型アンテナや放射線による誤作動が少ないとされるマイクロプロセッサーの宇宙実証も同時に行っている。得られた結果は衛星開発の知見として役立つだろう。
宇宙開発の競争が激しくなる中、軌道上の衛星数は増え続けており、そのデータを受信するための地上局も増える傾向にある。だが現行の地上局の本格的な管制システムには数千万円規模の投資が必要。そこで安価な受信機によって受信したデータを集約する仕組みを作れば、少額投資の次世代の衛星管制システムを構築できるかもしれない。
衛星による宇宙利用は観測や放送通信、軍事などに現在は限られているが、亀田准教授は、「プロジェクトを通じ、新しい宇宙利用方法を提案したい」と宇宙開発のあり方を模索する。(冨井哲雄)
(金曜日に掲載)
(2017/1/27 05:00)
関連リンク
科学技術・大学のニュース一覧
- パソコンの手書き文字入力、速度1.5倍−お茶の水女子大、新方式開発(17/01/27)
- 東工大とブリヂストン、油圧駆動型の人工筋肉を開発−災害ロボへ応用(動画あり)(17/01/27)
- 超小型衛星が拓く・宇宙開発(2)筑波大、衛星電波を世界50カ所で受信(17/01/27)
- ダイヤパワー素子内の電界、ナノレベルで正確計測−東工大と産総研(17/01/27)
- AI・医工融合で健康産業を創出−阪大が産学共創プロ構想(17/01/27)
- 工学院大、豪ソーラーカーレース 10月に3度目チャレンジ(17/01/27)
- LTEと無線LANで、通信速度2倍−富士通研が18年度実用化へ(17/01/27)
- イタリア大使館、来月16日に「ナノテク」セミ(17/01/27)
- 経営ひと言/名古屋大学・天野浩教授「次はパワー素子」(17/01/27)