[ オピニオン ]
(2017/1/27 05:00)
28日は中国などの旧正月、「春節」だ。帰省する知人は、親戚の子ども1人につき1000人民元(約1万7000円)が相場のお年玉で懐を痛めると、深いため息をついていた。
中華圏で絶大な人気のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」はモバイル決済機能を強化している。最近はお年玉までスマートフォン経由でやりとりするそうだ。何とも味気ないようだが、金融当局はカネの流れの“見える化”を歓迎している。
昨今の中国では、公務員は結婚式もおおっぴらに開けない風潮があるという。習近平国家主席による腐敗撲滅キャンペーンは末端にまで広がり、ご祝儀名目の不明瞭なカネの流れを断ち切ろうとしている。関係者も表立っては不満を口にできない。インドは昨年末、高額紙幣を廃止した。こちらも汚職や脱税、不正蓄財などの病巣にメスを入れるのが目的らしい。代わりに電子決済やクレジットカードを普及させることで、積年の課題の解決に取り組むとか。
汚職の横行は、経済成長を阻害する“中進国のわな”の一因。当局のカネの電子化方針は、しばらく続くだろう。日本も春節休みの中国人訪日客に期待しているだけでは、電子マネー活用に後れを取ってしまうかも。
(2017/1/27 05:00)