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[ 科学技術・大学 ]
(2017/2/2 05:00)
慶応義塾大学医学部の田中謙二准教授らは、意欲が低下する「意欲障害」の原因となる脳内の部位をマウスで発見した。課題を達成するとエサを得られる行動実験を実施。意欲障害の原因部位にある神経細胞を破壊したり、細胞の働きを抑えたりしたところ、課題達成を早期に諦めるようになり、意欲の低下を確認できた。このマウスをモデルとして、意欲障害の治療法の開発が期待できる。
北海道大学、防衛医科大学校、自然科学研究機構生理学研究所などとの共同研究。成果は1日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
意欲障害は神経変性疾患や脳血管障害、外傷などにより、脳の広範囲が障害を受けると発症すると知られる。ただ、詳しい発症機構は不明だった。
研究チームは、脳の深部にある領域「大脳基底核」を構成する「線条体」という部位に着目。線条体の細胞のうち、「ドパミン受容体2型陽性中型有棘ニューロン」(D2―MSN)と呼ばれる神経細胞を毒で破壊し、課題に取り組むマウスの意欲の変化を調べた。
その結果、線条体下部の「腹外側」という領域にあるD2―MSNで、全体の17%の細胞が死ぬと意欲障害が起きることが分かった。
(2017/2/2 05:00)