[ オピニオン ]
(2017/2/20 05:00)
山形県北部の舟形町は県内でも豪雪地で知られる。この時期、町の小高い丘からあたりを見渡すと白い世界が眼前に広がる。半年近く雪とともに暮らすこの町で“天才きのこ”が育っている。
マッシュルームをこう呼ぶのは、町内で農園を営む舟形マッシュルーム社長の長澤光芳さん。2001年設立の同社は、雪にも負けない専用の設備で年間通して安定供給できる体制を整えた。
何が“天才”なのか。キノコ類で唯一、生で食べられること。うま味成分のひとつであるグアニル酸や必須アミノ酸、ビタミン群を多く含み、体臭予防などの効果があること。最近では医療や介護現場で取り入れられるケースも増えている。
キノコの食文化が豊かな日本だが、マッシュルームに関しては欧米に及ばない。確かに日本の食卓に生のまま出されるシーンは頭に浮かびにくい。「おいしさをもっと知ってもらいたい」と長澤さん。
その願いが少しずつ通じているのか、農園の生産量は毎年、右肩上がり。直接買い求めにくるお客さんも増えており、直売所と飲食施設を建設中だ。さらにマッシュルームの“天才”に磨きをかける新たな乾燥技術を産学官連携で開発した。豪雪をはねかえす健闘を祈りたい。
(2017/2/20 05:00)