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[ エレクトロニクス ]
(2017/2/26 05:00)
韓国のサムスン電子は23日、3次元構造のFinFET(フィンフェット)で世界初の10ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセス技術を採用したマイクロプロセッサーを開発したと発表した。「エクシノス(Exynos)9シリーズ8895」で、14ナノメートルプロセスの現行チップに比べ40%省電力化し、処理速度は27%向上したという。すでに量産に入っており、4月に発表予定の次期スマートフォン「ギャラクシーS8」に搭載されるとみられる。
ちなみに、FinFETとはフィン(ひれ)状の薄いシリコンを持った3次元構造の電界効果トランジスタ(FET)のこと。トランジスタのリーク電流を抑えながら、高速動作と省電力性能を高められる特徴がある。
エクシノス8895は8コア構成で、処理速度と省電力性能を向上させた自社開発の第2世代カスタムCPUコアと、英ARMの64ビットCPUコア「Cortex-A53」を4個ずつ搭載。また、新型プロセッサーには、同社として初めてギガビットLTEモデムの機能も組み込み、下りで最高毎秒1ギガビット、上りで最大同150メガビットの通信速度を持たせた。
さらに、フルハイビジョンの4倍の4Kの解像度で最大毎秒120フレームの録画・再生にも対応。4Kの解像度で高品質なVR(仮想現実)アプリケーションが体験できるという。用途としては、スマートフォンのほか、VRヘッドセット、自動車のインフォテインメントシステムなどを見込んでいる。1月には独アウディがサムスンのエクシノスを次世代インフォテインメントシステムに採用すると発表した。
一方で、サムスンのギャラクシー8のライバルとなる米アップルの「iPhone(アイフォーン)8」は今年9月の発表が予想されている。その次期アイフォーンに搭載する10ナノプロセスFinFETの「A11」プロセッサーをめぐっては、台湾のTSMCが早ければ3月にもアップル向けに量産出荷を開始すると報道されている。
(2017/2/26 05:00)