[ 政治・経済 ]

【電子版】トランプ米大統領が初の議会演説、「米国再生」へ団結訴え―税制改革とインフラ投資へ決意

(2017/3/1 13:30)

  • 米上下両院合同会議で演説するトランプ大統領=28日、ワシントン(EPA=時事)

  • トランプ米大統領の演説を聴く上下両院合同会議の出席者=28日、ワシントン(EPA=時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は28日夜(日本時間3月1日午前)、連邦議会の上下両院合同会議で初めての議会演説を行った。「米国精神の再生」を目指し、内政や経済、外交安保の各分野の政策を進めるための協力と団結を内外に訴えた。歴史的な税制改革とインフラ投資に取り組む決意を確認した。

 トランプ氏は冒頭、昨年11月の大統領選勝利について「数千万人の人々が、米国は国民を第一にしなければならないと要求した」と強調。就任後40日間の実績を詳細に振り返り、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱などを成果としてアピールした。

 一方で、大きな混乱を招いたイスラム圏7カ国からの一時入国禁止問題をめぐっては、「新たな措置を近く講じる」と述べた。不法移民の流入阻止に向けて、メキシコ国境で間もなく壁の建設を開始すると語った。

 外交安保政策では、最大の国防費増額を要求すると説明。さらに米国は「世界に直接、力強く、有意義に関与する」と表明した。北大西洋条約機構(NATO)への支持を強調する一方で、加盟国の負担増を求めた。

 また、過激派組織「イスラム国」(IS)を地球上から消滅させるためイスラム世界の友人や同盟国などと協力すると述べ、「米国は新たな友好国を見つけ、利害が一致する分野で協力関係を構築する」と語った。

 経済政策では、税制改革で法人税を引き下げ、中間層の負担を軽減すると明言。医療保険制度改革法(オバマケア)の撤廃と、より良い制度への移行を議会に求めた。このほか、1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資を承認することも呼び掛けた。

 トランプ氏は「特別ゲスト」として、不法移民に殺害された警察官の妻や昨年2月に急死したスカリア最高裁判事の妻モリーンさんらを演説に招待した。演説は就任2年目以降に行う一般教書演説に代わって、施政方針を示したものだ。

 【ワシントン時事】トランプ米大統領の議会演説要旨は次の通り。

 一、敵・味方を問わず、世界中の国々が米国は強く誇りを持ち、自由であると認識するだろう。米国は再び主導する用意がある。

 一、フォードやソフトバンクなどが米国で数十億ドルの投資を行い、数万人の新規雇用を確保した。

 一、米経済のエンジンを再起動させる。国内での事業を容易に、海外への企業移転を困難にする。

 一、雇用を阻害する規制の削減に向けた歴史的取り組みに着手した。

 一、雇用を減らす環太平洋連携協定(TPP)から離脱した。

 一、メキシコ国境の壁建設を間もなく始める。完成すれば、麻薬や犯罪を防ぐ効果的な対抗手段になる。

 一、イスラム過激主義によるテロから国を守るための措置を講じる。

 一、官民から資金調達する1兆ドル(約113兆円)規模のインフラ投資法案の承認を議会に求める。

 一、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して以降、米国は6万の工場を失った。自由貿易を支持するが、公平でなければならない。

 一、米国の競争力を高めるために歴史的な税制改革を策定する。法人税減税や中間層の税負担を大幅に軽減する。

 一、米社会に利益をもたらす移民制度を導入する。

 一、オバマケアを廃止し、安価な代替制度を導入する。健康保険のコストを下げる。

 一、イスラム世界の友好・同盟国などと共に過激派組織「イスラム国」(IS)を地球上から抹殺する。

 一、米軍を立て直し、史上最大規模の国防予算増額を議会に求める。

 一、北大西洋条約機構(NATO)を強く支持するが、加盟国は財政上の義務を負う。NATOや中東、太平洋の同盟国は戦略や軍事作戦の面で直接的かつ意味のある役割を果たすよう求める。

 一、米国は、新たな友好国を見つけ、利害が一致する分野で協力関係を構築する。

 一、全国民に対し、米国精神の再生を支持するよう求める。

(2017/3/1 13:30)

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