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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/2 05:00)
東北大学大学院工学研究科の手束展規准教授と日本軽金属は、アルミニウム・カルシウム(Al・Ca)合金のヤング率を低く抑える手法を開発した。ヤング率は金属の成形性を示す指標の一つであり、低いと変形しやすい。合金に鉄を加え、ヤング率を低く保ったまま強度を向上することができ、成形しやすいAl・Ca合金の実用化のめどがたった。日本軽金属での事業化を目指す。
Al・Ca合金の内部ではAlとCaが金属間化合物を形成する。この金属間化合物の結晶構造が圧延工程で変化する。圧延すると斜方晶から正方晶に変形し、ヤング率と引っ張り強度が上がる。
焼鈍工程で正方晶から斜方晶に戻せるようになりヤング率が下がった。Al・Ca合金としてはヤング率を50ギガパスカル(ギガは10億)台に抑えられた。従来のアルミ合金は約70ギガパスカルだった。
金属間化合物の結晶構造制御でヤング率を下げることに加えて、合金に鉄を添加するとヤング率を変化させずに強度を向上した。強度と成形性を両立させ実用化のめどが立った。
圧延工程で結晶構造変化を抑えるには、合金を圧縮する量を減らす必要があった。この方法では生産性が伴わなかった。産学で連携し、メカニズムの解明から製造プロセスへの適応まで実現した。新合金は成形性が高いため、寸法精度の厳しい電子機器材料や超塑性加工材料などに提案していく。
(2017/3/2 05:00)
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