[ オピニオン ]
(2017/3/3 05:00)
ガス小売り事業の全面自由化が1カ月後に迫った。新たな競争が、消費者の生活向上につながることを期待する。
4月から家庭向けの都市ガス小売り事業に、異業種が参入できるようになる。参入の動きはまだ電力会社の一部などにとどまるものの、消費者の選択肢が少なからず広がることで料金やサービスの面で便益が高まることが望まれる。
ガス小売りで最も重要なことは、安定供給と保安に万全を期すことだ。新規参入事業者も、この基本をないがしろにしてはならない。その上で料金引き下げやサービス向上といった消費者の期待に応える必要がある。
電気を含め、日本の消費者が負担するエネルギーコストは2011年の東日本大震災を境に増大した。原子力発電所の運転停止で液化天然ガス(LNG)を燃料にする火力発電所の稼働率が高まり、LNGの輸入量が急増して調達コストが膨らんだことが大きな要因だ。
日本は都市ガスの原料や火力発電所の燃料として、LNGを世界で最も多く輸入している。その大半は原油相場に連動して価格が決まる旧来型の取引慣行に従っている。これに対し、欧米では需給の実態を映した値決めが一般的だ。
油価が高騰すると日本の需要家は割高な代金を支払うことになりかねない。都市ガスや電力各社は輸入先の見直しなどLNGの調達価格を抑える取り組みを進めている。この成果を消費者にも還元してもらいたい。
とはいえ、安売り競争に明け暮れれば経営が成り立たなくなる。知恵を出し、ガス事業の付加価値向上にも努めなければなるまい。
すでに自由化されている大口需要家向けのガス事業では、地域冷暖房をはじめとする熱供給や、省エネルギー・低炭素化の立案や支援などの包括的なサービスで、顧客の利便性向上に貢献しようとする動きが広がっている。家庭向けでも従来の枠にとらわれず、革新的で利便性の高いサービスを生み出し、消費生活の質的向上につなげることが重要だ。
(2017/3/3 05:00)
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