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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/30 05:00)
理化学研究所創発物性科学研究センターのデニス・マリエンコ研究員、川崎雅司グループディレクターらは、東北大学金属材料研究所などと共同で、非磁性半導体である酸化亜鉛の伝導電子が磁性を持つことを発見した。従来の半導体では難しかった磁性と高速制御の両立に道を開く。英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
共同チームは磁性元素を混ぜずに、電子同士の電子的な反発のみを利用して酸化亜鉛の伝導電子に磁性を持たせることに成功した。酸化亜鉛を流れる伝導電子の特性を磁場中で詳しく調べ、伝導電子が磁性を持つ際に特徴的に生じる「異常ホール効果」を観測した。
さらに、理論的に解析した結果、酸化亜鉛中に存在する少量の結晶欠陥が小さな磁石として働き、伝導電子に磁性を持たせていることが分かった。
亜鉛は地球上に豊富に存在する無害で安価な物質。
今後、動作温度を向上し、デバイス化を進めれば、現在のメモリー素子の一部を置き換える低消費電力デバイスとして使えると期待される。
(2017/3/30 05:00)