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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/31 05:00)
月は地球に近く、多くの人々にとって親しみ深い天体だ。その月への本格的な探査が超小型衛星によって始まろうとしている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の橋本樹明(たつあき)教授らは、1キログラムの機体を月面に着陸させることを目的とした超小型月探査技術実証機「OMOTENASHI」(おもてなし)のプロジェクトを進める。橋本教授は「ミッションが成功すれば、月面に着陸した機体として世界最小となる」と期待する。
着陸するさらに小型の機体は実証機本体からの分離後、時速9000キロメートルで月に突っ込む。衝突直前に固体ロケットモーターで進行方向と逆向きに噴射し、時速100キロメートルまで減速。着陸時の衝撃を和らげる。
月面着陸前の実証機は全質量14キログラムだが、月面着陸時の機体は1キログラムほど。橋本教授は「着陸する機体の質量の3分の2を固体燃料が占める。衝撃緩和の逆噴射のために全体の重量の多くを費やした」と解説する。
開発は、15年に米航空宇宙局(NASA)から新型ロケット「SLS」に載せる衛星を募集すると連絡が入ったことがきっかけで始まった。橋本教授は月面着陸する小型実証機の構想を2週間でまとめ応募。NASAに見事採用され、16年9月から開発に着手。17年夏までに実証機を完成し、18年秋にSLSで月に向かう計画だ。
橋本教授は「機体を量産できれば数億円で月を探査できるかもしれない。企業や個人が投資する可能性は十分ある」と新たな宇宙産業への見通しを示す。
(冨井哲雄)
(金曜日に掲載)
(2017/3/31 05:00)
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