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[ 科学技術・大学 ]
(2017/4/6 05:00)
産業技術総合研究所物理計測標準研究部門量子光計測研究グループの福田大治研究グループ長と丹羽一樹主任研究員は5日、光子1個を見ることのできる「光子顕微鏡」を開発したと発表した。光ファイバーで極めて弱い光を集め、超電導光センサーで波長や個数を数える。可視光に加え赤外光、紫外光も計測可能。生体や細胞の観察などに応用していく。
超電導光センサーは100ミリケルビン(マイナス273・05度C)に冷やされており、光子が当たると一時的に超電導状態が壊れる。この瞬間の電気抵抗の変化から光子のエネルギーを見積もり、光子の波長を識別する。波長200ナノ―2000ナノメートル(ナノは10億分の1)の光子を計測可能。光ファイバーの先端に集光レンズをつけ、試料表面上を走査して画像を撮る。
実験では1画素当たり平均20個程度の光子を検出して画像を作成できた。光強度に換算すると0・16フェムトワット(フェムトは1000兆分の1)に相当し、世界初の成果だという。
光子1個1個を観測できれば、同時に複数の物質を分けて計量可能。細胞の自家蛍光観察や化学物質の蛍光分析など、微弱な光の観察に応用する。超電導光センサーの検出部を複数並べて、動画撮影の実現を目指す。
(2017/4/6 05:00)