[ オピニオン ]
(2017/4/6 05:00)
従来にない地域経済振興の効果を発揮している制度だけに、制限も細やかであるべきだ。
総務省は、ふるさと納税の返礼品の高額化競争の抑制を自治体に通知した。寄付額に対する返礼品の割合を3割以下にするという上限を新たに設定した。
このほか、すでに規制している商品券や電気・電子機器、貴金属などに加えて、宝飾品や時計、カメラ、楽器など資産性の高い返礼品の自粛を求めた。また住民が自分の住む自治体に寄付した場合に返礼品を送らないこと、返礼品が通信販売類似にならないように寄付の成果報告に努力することなども盛り込んだ。いずれも強制力はないが、一部自治体の過当競争の抑制が期待できるだろう。
ふるさと納税制度に対する評価は、いまだに揺れている。実質的に納税の一部なのだから、返礼品はおかしいという批判は根強い。大都市に集中する地方税を分散するはずなのに、地域の隣接自治体間で寄付の取り合いが起きている事例などは明らかに制度不備が原因だ。
一方で総務省幹部は「ふるさと納税は実にパワフル。返礼品なしに、これだけの効果は出なかった」と地域経済の活性化に役立ったことを評価する。新たな措置も、多くの自治体の現状を追認した色彩が濃い。3割の上限は返礼品の仕入れ額に対してであり、寄付者からは市価5割相当の商品がもらえる特異な制度と認識されるだろう。
つまり総務省の今回の措置は、目に余る少数の例の排除が目的と考えられる。同省は今後も過剰な返礼品に目を光らせ、規制を判断する考えだ。ただ、それが一律の制限になることは望ましくない。
例えば転売懸念のあるパソコンや楽器は返礼品には不適当とされたが、それらの工場が立地する自治体にとっては町おこしのタネを失うことに通じる。寄付の回数制限や、一定以上の高額寄付にのみ返礼するなどの方法で許容できないか。
また新規開発の地域産品などは、PRも含めた高率の返礼が認められてもいいだろう。実情に応じた対応を願いたい。
(2017/4/6 05:00)
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