[ オピニオン ]
(2017/4/5 05:00)
インフラシステムの輸出拡大には、相手国ニーズを踏まえ、ヒト・モノ・カネをパッケージ化して提供することが重要だ。官民一体となり、取り組みを強化してもらいたい。
国内市場は少子高齢化に伴う人口減少により、縮小する傾向にある。その歯止めをかける施策の一つがインフラシステムの海外展開だ。経済協力開発機構によると、2030年の世界のインフラ需要は年間2兆3260億ドル。15―30年の鉄道・空港・港湾の平均整備需要は、09年―15年平均と比べて約1・8倍に拡大すると試算する。
ただ、こうした需要は日本だけでなく海外企業も狙っており、競争が激しい。15年に、受注が有力視されていたインドネシアの高速鉄道案件を中国に奪われたことは記憶に新しい。
国土交通省は激烈化する受注競争を踏まえて「インフラシステム海外展開行動計画」を改定した。重点を置いたのは高い技術力や納期の順守、人材育成やファイナンスなどの総合的な支援の強化だ。
特に価格競争力で劣る部分を補うため、円借款や国際協力銀行などの融資実施に力を入れる。また品質に優れるため修理費を圧縮できて、ライフサイクルコストでは安くなる点も強調していく。政府は「質の高いインフラ」を掲げるが、これを相手国政府に理解してもらう努力が必要だ。
また行動計画では、海外展開を推進する企業の機能強化もあげた。特に案件形成段階でのコンサルタント体制の強化が重要という。この点も官民一体となって人員や機能などを拡充する取り組みが不可欠だろう。
また、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を活用したシステムの提供も重要になる。今後は自動運転などの市場も出てくるが、将来をにらんだ対応の検討も必要だ。
インフラシステムの輸出は、技術力の優劣だけでは通用しない。ファイナンスや事業案件の形成能力なども含めソフト・ハードおよび総合力が問われる。戦略を具体的な活動に落とし込んでいってもらいたい。
(2017/4/5 05:00)
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