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[ エレクトロニクス ]
(2017/4/17 05:00)
台湾・鴻海精密工業が日・米企業との連携による、東芝の半導体メモリー事業買収に向けた動きを強めている。出資に伴い、米アップルとの連携や、ソフトバンクと協力する方向で検討を始めた。日本政府は安全保障上の問題を理由に、中国と近い立場の企業による買収をけん制する。鴻海は米アップル、ソフトバンクの協力を得ることで、その態度を軟化させる狙いがありそうだ。一方で鴻海は中国にメモリー工場を構えたい意向があるとささやかれる。買収は果たして成就するのか。(政年佐貴恵)
アップルは鴻海と連携して少なくとも数千億円を投じ、東芝のメモリー事業会社「東芝メモリ」の株式、数十%を取得する方向で検討をしているもようだ。東芝はアップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」などに、NAND型フラッシュメモリーを供給している。東芝への出資により、アップルはメモリーを安定調達できるメリットがある。加えて鴻海はソフトバンクにも協力を要請したという。
一次入札に応じた鴻海は、最大3兆円の買収額を提示したとみられる。だが日本政府は中国への技術流出などを懸念しており、メモリー事業の売却を外為法による事前審査の対象とする方針だ。東芝幹部も「中国に近い所は厳しいのではないか」と漏らす。鴻海は日米の企業と組むことで、この状況を打開したい考えだ。
一方、関係者は「鴻海は中国にメモリーの生産拠点を作りたいようだ」と明かす。東芝は入札の条件としてメモリーの生産拠点である四日市工場(三重県四日市市)や雇用の維持、投資の継続を求めている。鴻海がアップルやソフトバンクと連携しても、この点が課題となりそうだ。
台湾企業による特許侵害の訴えや、協業先である米ウエスタンデジタルによる抗議、今回の鴻海の動き―。東芝は月内に二次入札を実施し5月中に締め切る方針。6月の売却先決定を目指すが、選定作業は長期化する様相を呈している。
(2017/4/17 05:00)
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