[ オピニオン ]

社説/温室効果ガス80%削減−高い目標に挑戦し覇者目指せ

(2017/4/17 05:00)

産業界にとって温室効果ガス排出抑制は厳しい課題だ。しかし高い目標に挑戦しなければ、世界のリーダーにはなれない。

温暖化対策の国際ルールであるパリ協定が昨年11月に発効した。各国は「平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度Cより十分低く保つとともに、1・5度Cに抑える努力を追求する」ことを目的に気候変動の緩和対策を進めている。日本は温室効果ガス排出を2030年度に13年度比で26%削減、50年度までの長期目標として80%削減を目指すことを決めている。

経済産業省の「長期地球温暖化対策プラットフォーム」の報告案では、国際貢献、グローバル・バリューチェーン、革新的技術のイノベーションを長期温暖化対策の3本の矢と位置付け、地球全体の排出削減に貢献することを提言した。

ただ日本の長期目標達成については「近い将来に導入が見通せる技術をすべて導入したとしても、これまでの国内や業種内、既存技術などの閉じた対策で立ち向かうには限界がある」とした。国内の取り組みだけでは難しいので、新興国や発展途上国の温暖化対策を支援する考えのようだ。

一方、環境省は国内での対策を前提に、80%削減の目標を提示、カーボンプライシング(炭素税や排出権取引による炭素の価格付け)などの導入を提言している。経産省案は環境省案と対立する形になった。

地球温暖化は文字通り地球全体の問題だから、地球全体の温室効果ガス排出削減が重要なことは言うまでもない。そこに日本が役割を果たすことも必要だが、あくまでも国内で80%削減がベースではないだろうか。

経産省案は国内産業の負担に配慮したものと思われる。しかし気候変動は産業構造自体の変革を求めている。

気候変動に限らず、いち早く時代の要請に適応した企業が世界経済の覇者になることは歴史が証明している。企業にとっては厳しい対応を迫られることになるだろうが、世の中の変化を成長のチャンス到来ととらえて覇者を目指してほしい。

(2017/4/17 05:00)

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