[ 科学技術・大学 ]

統計数理研など、微気圧振動研究を加速 南海トラフの津波観測に活用

(2017/4/20 05:00)

統計数理研究所と東京大学地震研究所、高知工科大学は、日本気象協会と協力し、地震に伴う地面の摩擦や海面の隆起・沈降、火山の噴火などで生じる大気中の微小な気圧振動「微気圧振動」(インフラサウンド)の観測データを今夏にも公開する。各研究機関のデータを集約して公開することにより、インフラサウンドの研究の進展と周知に役立てる。

インフラサウンドの観測点は高知工科大が高知県内に6カ所と千葉県船橋市に1カ所設けているが、今秋にも17地点に増設する予定。一方、統計数理研と東大地震研は、長野県上田市の菅平と和歌山県串本町の潮岬に観測点を持つ。各観測点のデータはいずれも、日本気象協会が夏ごろに開設する専用サイトで公表する。

内陸で発生する地震は、震源が浅い方が被害は大きい傾向にある。例えば2016年4月発生の熊本地震では深さ約10キロメートルと、比較的浅い場所で大きな地震が立て続けに発生。その結果、震度7を2回観測する大地震となった。統計数理研と東大地震研が観測を行う菅平は浅間山に近いため、火山の噴火で発生するインフラサウンドを観測できる。

一方、近い将来の発生が予想される南海トラフ地震に備え、潮岬や高知工科大の観測点は、津波を起源として発生するインフラサウンドを捉えるのに適している。

データ公開により、インフラサウンド研究の周知のほか、どれくらいの規模の地震が、どういった場所で発生しやすいかといった研究に役立てられる。

(2017/4/20 05:00)

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