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[ 科学技術・大学 ]
(2017/4/21 05:00)
東京理科大学理学部応用化学科の椎名勇教授、同大学生命医科学研究所の小幡裕希講師らは、新しい分子標的薬を合成し、細胞実験でがん細胞増殖を抑制する効果があったことを見いだした。白血病の一種「マスト細胞腫」や治療薬に耐性ができた再発胃がんで効果があった。マウスによる治療効果を確認中であり、ヒトへの応用を目指していく。成果は米科学誌プロスワンに掲載された。
細胞の異常増殖は、細胞膜上で刺激を受け取る受容体に対し、特定のたんぱく質が結合して増殖の信号が送られ続けて起きる。これまでの分子標的薬は、受容体に栓をして増殖信号を遮断するものが多い。受容体に変異が生じたがんでは薬で栓ができなくなるため、効果が得られなくなっていた。
研究チームが新たに開発した分子標的薬は、細胞内のたんぱく質合成器官「小胞体」で作られた変異型受容体を、細胞膜表面へ輸送する経路を阻害する仕組み。従来薬に対して耐性のできたがんにも効果が期待できる。
受容体の一種「Kitチロシンキナーゼ(Kit)」は、マスト細胞腫や再発胃がんで変異が生じることが分かっている。Kitは、細胞内でたんぱく質を成熟させる細胞内膜器官「ゴルジ体」を経由して細胞膜へ輸送される。椎名教授らは、小胞体からゴルジ体までの輸送を阻害する人工たんぱく質「M―COPA」の合成に成功。
M―COPAで処理した細胞では、Kitは輸送されず小胞体に貯留し、細胞増殖を抑制した。
(2017/4/21 05:00)
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