[ オピニオン ]
(2017/4/25 05:00)
日本製が人気なのは炊飯器やトイレだけではない。世界最大の人口を抱える中国。自動車は独フォルクスワーゲンなど欧米勢が強いが、ピアノは「YAMAHA」や「KAWAI」などの人気が圧倒的という。
スタインウェイなどの欧米製も憧れのブランドだが、何せ流通量が少ない。中国製は品質面の問題で支持率は低い。手作りだったピアノの工業生産化に成功した日本メーカーのアドバンテージは大きい。
高級マンションや高級車を手に入れた中国富裕層が次に求めたのが心の豊かさや教養。子どもに音楽教育を受けさせることはその象徴となっている。今や中国は世界のピアノ市場の6割以上を占めるピアノ大国に成長した。
一方、日本のピアノ市場は少子化を背景に、1980年前後の約30万台をピークに10分の1以下に縮小。弾かれなくなったピアノは海を渡り、中古ピアノとして中国で再び音を奏でる。新品、中古に加え、最近は電子ピアノにまで裾野が広がる。
日本メーカーは今後、調律や音楽教室などソフト事業に力を入れる方針だ。一人っ子政策も終わり、さらなる市場拡大が期待される中国。日本で成功した「モノ+コト」のビジネスモデルは中国の人々の心にも響くだろうか。
(2017/4/25 05:00)