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中小企業優秀新技術・新製品賞 開発の舞台裏(1)ナガセインテグレックス

(2017/5/25 05:00)

中小企業庁長官賞 超精密成形平面研削盤「SGC―630PREMIUM」

  • SGC―630PREMIUMと開発陣(前列左が長瀬社長、同2番目が岩下常務)

ナガセインテグレックスの「SGC―630PREMIUM」のテーブル運動真直度精度は左右600ミリメートルで0・2マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。全ての直線軸で最小分解能は10ナノメートル(ナノは10億分の1)と緻密。従来の研削盤とは一線を画すケタ違いの精度だ。

1台で粗加工から超仕上げ加工までカバーするうえ、独自ソフトとの併用で直角面の高精度自動研削加工もできる。超精密研削盤で知られる“ナガセ”のフラッグシップ機と言える。長瀬幸泰社長は「技術がもう一段高まる10年後の日本のモノづくりを見据えた」と開発の意図を語る。

構造的には全軸の摺動(しゅうどう)面が非接触状態を保つ油静圧案内にしたほか、滑らかな送りを可能にする独自の冷却断熱構造を持つリニアモーターを搭載する。自社の超精密研削盤をベースにしつつも、開発には1年間を要した。

開発を率いた岩下孝博常務取締役が苦心したのが「製造が培った経験と設計の理論上のアプローチの垣根を取り払うこと」という。岩下常務は「図面で精度が満たせてもそれを実現するのは難しい」と語る。そこで設計、機械加工、組み立て、品質保証の各部門の中核社員でプロジェクトチームを組み、精度誤差の原因を見直した。

構成部品の個々の精度から突き詰めており、部品加工後に組み付けては検証し「加工段階で良品とされても精度向上を求めて何度も送り返した」(岩下常務)。当初、反発もあったが「もっといい製品を作りたい。それが当社のDNA」(同)。社員が課題の部品を囲み、アイデアを出し合う光景が自然と生まれた。

こうした過程の中で重要部品の案内面の製造工程も約20年ぶりに刷新した。マザーマシンを再調整するところから始め、加工時のセッティング方法を改善。専用の治具も開発した。

開発に打ち込む社員を見守ってきた長瀬社長は「会社として技能伝承ができていることを再認識できた」とほほえむ。同社は超精密加工分野の先頭を走り続けることで、自社技術を一段と引き上げている。

(岐阜支局長・伊藤吉登)

りそな中小企業振興財団と日刊工業新聞社が主催する「第29回中小企業優秀新技術・新製品賞」の上位表彰製品・ソフトを紹介する。

(木曜日に掲載)

(2017/5/25 05:00)

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