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[ 科学技術・大学 ]
(2017/6/1 05:00)
早稲田大学高等研究所の鈴木太郎助教らは、飛行ロボット(ドローン)の測量誤差を5センチメートル以下に抑える立体地形地図の計測技術を開発した。ドローンに複数の衛星測位システム(GNSS)を搭載しており、姿勢を高精度で推定する。ドローンが風で舞い上げられて揺らいでも、測量用レーザーの角度を高精度補正できる。2017年度中に企業への技術移転を目指す。
6枚のプロペラを持つドローンに、6台のGNSSを搭載した。準天頂衛星で各GNSSの位置を測位する仕組み。6台の測定タイミングを同期するため、ドローンの姿勢を推定できる。慣性計測ユニットとGNSSを統合処理し、角度の推定誤差を0・1度に抑えることに成功した。
このドローンにレーザースキャナーを積み、高さ15メートルから地上の立体形状を計測して立体地図を生成した。レーザー計測時のドローンの姿勢をもとに補正すると、立体地図の誤差を垂直方向は4・0センチメートル、水平方向は4・7センチメートルに抑えられた。
補正がないと垂直で84センチメートル、水平で94センチメートルだった。レーザースキャナー自体が3センチメートル程度の誤差をもつため精度は高い。
簡易なGNSSと慣性計測ユニットですむため、高精度の慣性計測ユニットを搭載するよりも軽量で測定精度が上がると見込んでいる。
現在はドローンによる測量が終わった後にデータを回収して高精度立体地図を作製している。姿勢推定と立体地図生成のリアルタイム化を進め、ドローンの自己位置推定や高精度自律飛行に応用する。土砂災害時の状態把握や土木工事の測量、施工管理などに提案していく。
(2017/6/1 05:00)