[ オピニオン ]
(2017/6/20 05:00)
駆け出し記者の頃、中小企業の取材で横浜の臨海部にある工場地帯をよく歩いた。スマートフォンも全地球測位システム(GPS)もない時代。取材先を探して長時間歩くと、汗が噴き出てくる。
そんな時に救いとなったのが、道路沿いにある飲料自動販売機である。炎天下、キンキンに冷えた炭酸飲料の何とうまかったことか。
その飲料自販機が、低価格で豊富な品ぞろえのスーパーやコンビニエンスストアに押されて苦戦している。飲料各社はスマホを活用した新サービスや電子看板化など、あの手この手で自販機の活性化に取り組む。
ダイドードリンコは自販機の脇に7本の傘を入れた箱を取り付け、急な雨の際に誰にでも無料で貸し出すサービスを首都圏と愛知県で始めた。東京急行電鉄、西武鉄道、名古屋鉄道と連携して忘れ物傘に社名を入れ、首都圏では約170台に設置する。大阪市内では1年半前、関西地域では1年前から始め、返却率は7割に上るという。
高齢化と人口減少が進み、今後はコンビニも商店もない過疎地が増えるだろう。その際、生活必需品を販売するツールとして自販機がクローズアップされる可能性がある。自治体も新しい活用法を検討してみてはいかが。
(2017/6/20 05:00)