[ オピニオン ]
(2017/6/27 05:00)
社会を揺るがすサイバー攻撃に対して、専門知識を備えたセキュリティー人材の不足が叫ばれている。情報システムを守る運用管理者の育成が急務だが、世界と戦えるセキュリティーの研究・開発者の育成も忘れてはならない。
セキュリティー人材の育成策は官民で動きだし、実際の攻撃を模した防御演習も始まっている。座学だけでなく実践的な訓練が必須だが、それだけでは日本全体のセキュリティー水準は上がらない。ウイルス対策ソフトをはじめ、この分野は海外勢が圧倒的に強い。
こうした中、総務省所管の情報通信研究機構は25歳以下の若手を対象としたセキュリティー人材の育成プログラム「secHack365」を創設した。有識者らの指導のもと、1年がかりで将来の“ホワイトハッカー”(正義のハッカー)を養成するのが特徴だ。
月初に開かれた第1回の講習会には、公募で選ばれた47人が一堂に会し、アイデアを競うハッカソンなどで腕前を披露した。大学生や院生、高専生が主体だが、中には小学生1人(10歳)と中学生1人(14歳)も選ばれている。
各受講生は集合研修のほか、情通機構が持つ実際の攻撃データや解析システムを自宅からオンラインで接続して活用できる権限なども与えられ、これからが本番となる。
もとよりサイバー攻撃の防御手法は、訓練すれば一定水準に達する。だが新しいものを生み出す力は、教えられても簡単に身につくものではない。
プログラムの主催者である情通機構の園田道夫ナショナルサイバートレーニングセンター長は「セキュリティーの新しい技術を開発し、新事業をつくる人材を育てたい」と語る。
セキュリティーの世界では卓越した知識や技能を持つ“トップガン”と呼ばれる人材がいるが、日本には数えるほどしかいない。小中学生の頃から素養のある人材を早期に発掘し、いかに育てるか。そうした人材を生み出す場を提供することで、育成ノウハウも確立したい。
(2017/6/27 05:00)
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