[ ICT ]
(2017/6/28 14:00)
(ブルームバーグ)ウクライナとロシアから欧州、米国、南米へと拡大した新たなサイバー攻撃の被害はアジアにも及んだ。
コンテナ海運最大手、デンマークのAPモラー・マースクがインド・ムンバイ近くのジャワハルラール・ネルー港湾信託で運営するターミナルがサイバー攻撃により積み出し・積み入れができなくなった。同国海運当局のニータ・プラサド報道官が28日、電話インタビューで明らかにした。同港はインド最大のコンテナ取り扱い港湾施設。
今回、企業や港湾管理会社、政府などのシステムを標的に拡散したウイルスは、解除したければ300ドル(約3万4000円)を仮想通貨で払い込むよう要求する。銀行や小売り企業はクレジットカード情報などを狙うサイバー攻撃への対策を強化してきたが、他の業種の多くの企業はランサムウエア対策で後れを取っている。サイバーセキュリティー会社、カスペルスキーのアナリストによれば、これまでに約2000のシステムが攻撃を受けており、最も被害が甚大なのはロシアとウクライナだった。
米シンクタンク、大西洋評議会のサイバー国政イニシアチブのウッズ副代表は、このウイルスの活動を停止させる「キルスイッチ(停止機能)が見つかっていないため、世界各地で被害は拡大する見通しだ。脆弱(ぜいじゃく)なシステムほど危険にさらされやすい」と説明した。
中国のサイバーセキュリティー会社、奇虎360の主任セキュリティーエンジニア、鄭文彬氏は、同ウイルスが中国国内で広がり始めている兆候はあるが、大規模な攻撃は見つかっていないと述べた。
(2017/6/28 14:00)