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[ 科学技術・大学 ]
(2017/7/6 05:00)
九州工業大学は同一性能の複数の超小型衛星を利用し、地球周回軌道上での実証実験を7日から始める。国際宇宙ステーション(ISS)から放出する5機の衛星と、アジアやアフリカなど七つの国・地域の地上局を利用し、超小型衛星の軌道上での位置の把握や大気の密度測定などを行う。今後の超小型衛星の開発や既存の地上局の利活用などが期待される。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は同日夜(日本時間)、ISSの日本実験棟「きぼう」から九州工大の超小型衛星5機を地球周回軌道に投入する。5機の衛星は1辺10センチメートルの立方体で、性能はすべて同じ。同大に所属する日本人やアジア、アフリカからの留学生が国別に製作した。開発に携わった日本、ガーナ、モンゴル、バングラデシュ、ナイジェリアの5カ国に加え、タイと台湾が地上局を使い、衛星の運用に参加する。
今回のミッションでは、衛星の発信する電波を複数の地上局が受信し、各地上局との時間差から衛星の正確な位置を割り出す実証実験をする。衛星が軌道上での位置を知るためには、恒星から軌道上の位置を把握する光学機器「スタートラッカー」や全地球測位システム(GPS)センサーを積む必要があり、電力や開発コストが多くかかる。
地上局という既存のインフラを利用し衛星の位置を決められれば、衛星ミッションに開発を注力できる。
さらに地球付近の大気密度を調べる実証実験も行う。高度約400キロメートルのISSから放出した5機の衛星は、地球を回りながらゆっくりと落ちていき、半年ほどで大気圏に突入し燃え尽きる。その間、衛星に積まれたセンサーにより大気の密度を計測。地上局を利用した衛星の位置情報と併せ、大気の密度分布を調べられる。
ガーナとモンゴル、バングラデシュの3カ国は国として初めての衛星の打ち上げとなる。
同大のプロジェクトでは、留学生による衛星の設計・製作や運用などを通じ、宇宙開発に関わる人材の育成を目指している。
(2017/7/6 05:00)