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[ 科学技術・大学 ]
(2017/7/6 05:00)
東京大学先端科学技術研究センターの中村泰信教授と田渕豊助教らは、理化学研究所創発物性科学研究センターと共同で、量子コンピューターの要素技術である超電導回路上の量子ビット素子を使い、磁石(強磁性体)の持つ量子的な振る舞いを初めて定量的に観測した。高感度センサーなどへの応用が期待される。米科学誌サイエンス・アドバンス電子版に掲載された。
研究チームは、超電導回路上の量子ビット素子を検出器として用い、ミリメートル寸法の磁石中に生じた集団スピン運動の量子「マグノン」の数の分布を一つずつ計測した。従来、磁石中の集団スピン運動を単一量子レベルで定量的に評価する技術はなかった。
超電導量子ビット素子とマグノンを量子状態を保ったまま組み合わせる「ハイブリッド量子技術」を使うことで、超電導量子ビット素子が物質の量子力学的な振る舞いに対する新しい検出器になることが示された。
今後、超電導量子ビット素子をほかの物理系と融合したハイブリッド量子系を作ることで、センサー技術の開発のほか、量子情報処理分野の発展にもつながると見込まれる。
(2017/7/6 05:00)