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中小企業優秀新技術・新製品賞 開発の舞台裏(7)優秀賞-丸三電機

(2017/7/13 05:00)

スプリングバック 逆利用

【幅広カシメ式ヒートシンク】

  • 小田貴弘開発技術課長(左)と宿谷誠常務

「製造側が嫌がる現象を応用しよう」―。丸三電機(東京都千代田区、竹村元秀社長、03・3253・0411)は、最大幅795ミリメートルに対応し、熱移動がスムーズな放熱板「幅広カシメ式ヒートシンク KHシリーズ」を開発した。2011年から開発をはじめ14年に販売し、無停電電源装置(UPS)などで利用される。

ヒートシンク製造の接合は、ロウ付けのブレージング式が多いものの、炉の大きさにより生産性に依存する。これまで400ミリメートルを超えるサイズは難しかった。そこで長年変わらない同製造法の課題に着目した結果、押し出し成形した幅9ミリメートルのブロック状ヒートシンクに圧力をかけて積層し、幅広化を実現した。ポイントは圧力を解放後、材料が元の形に戻ろうとする「スプリングバック」現象を応用したことにある。

開発に携わったのは、小田貴弘開発技術課課長含めて2人の少人数体制。他の業務をこなしながらの開発だったことや「中小企業ゆえ、開発予算は多くはとれなかった」(小田課長)という開発環境下で、助成金を一切活用せず、人件費・設備投資含め3500万円と限られた資源の中で高品質なモノづくりを究める日々が続いた。

ヒートシンク部材を圧着するのに、上から圧力をかけるだけではうまくいかないため、独自の圧力のかけ方のノウハウを研究。カシメ部分の突起は垂直方向でなく、斜めに加工したことでスプリングバック現象を圧着する力に変換した。また、長手方向のズレ防止のためにローレットをカシメ部分に付けたことで、熱の温度差が縮まることも発見するなど、試行錯誤を経て同技術を確立した。

今後「ゆくゆくは大電力用のヒートシンク市場も開拓していきたい」と宿谷誠常務は意気込む。

現在、同社は新型ヒートポンプ「LEX―PATH(レックスパス)」の開発も行っており、同ヒートシンクに組み合わせた展開も視野に入れるなど、モノづくりへの情熱は一層熱を帯びていく。

(茂木朝日)

(木曜日に掲載)

(2017/7/13 05:00)

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