[ ICT ]
(2017/7/14 05:00)
栗本鉄工所は仮想現実(VR)技術を用いた体験型釣りゲームのコントローラー向けに、独自の磁気粘性(MR)流体「ソフトMRF」を載せたデバイスを開発した。バンダイナムコエンターテインメントのゲーム機向けで、同社が14日に開業する東京都内の娯楽施設に設置する。アクチュエーターなどでは困難だった魚の大きさによって手応えを変化させたり、繊細な感触も再現できる点が評価された。今後は、VRを含め、多様な分野で用途開拓に取り組む。
新デバイスは竿(さお)型コントローラーに内蔵する。磁場の印加度合いで粘性が変化するソフトMRFの特性を利用し、魚が食いつくアタリや、竿が引っ張られる感触を表現する。VR映像と連動し、リール部の回転に応じた抵抗の大きさで手応えが重くなり、実際に釣りをしているような感覚が得られる。
釣り特有の感触や魚によって異なる手応えを表現するため、材料配合を工夫して、出力トルク変化幅を従来比3―5倍高めた。デバイス設計も工夫した。
マイクロメートル(マイクロは100万分の1)レベルの鉄微粒子を分散するMR流体は、粒子が大きくて沈降しやすく再分散性が課題。
一方、栗本のソフトMRFはナノレベルの鉄微粒子で、力の強弱を滑らかに表現できる。応答性も高く、磁場変化に伴う粘性変化を瞬時に感触として伝え、出力トルクは他社のマイクロメートルレベルのMR流体並みに高めた。
感覚と力覚を再現するハプティクス分野でソフトMRFの用途開拓は先行しており、福祉用具の下肢装具などでは実績がある。同分野ではモーターや、アクチュエーターによる振動を用いるのが一般的で、これらの補完や置き換えも推進する。
(2017/7/14 05:00)