- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2017/7/14 05:00)
東京工業大学物質理工学院応用化学系の菅野了次教授らは、固体中をイオンがあたかも液体のように動き回る「超イオン導電特性」を持つ、固体電解質材料を発見した。電池の構成部材である正極、電解質、負極をすべて固体で構成した「全固体リチウムイオン電池」(全固体電池)の実用化につながる可能性がある。成果は14日、米化学会学術誌ケミストリー・オブ・マテリアルズに掲載された。
研究グループはスズやシリコン、リン、リチウムの割合を変えることで、電池にした場合に流せる電流の大きさや、充電速度に関わる「イオン伝導率」の高い層を発見。その材料はスズとケイ素を組み合わせて組成されるため、安価かつ汎用的だ。また合成しやすく、熱安定性が高い利点がある。
菅野教授は「全固体電池の原料費を3分の1程度にできる可能性がある」としている。
これまで発見された固体電解質は、レアメタル(希少金属)であるゲルマニウムが必要なほか、電気的安定性などが課題だった。
構成部材のすべてが固体の全固体電池では、電解質をチップなどにすることで、従来よりも電池を小型かつ大容量化できると期待されている。
(2017/7/14 05:00)