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[ 環境・エネルギー ]
(2017/7/22 23:30)
東京電力は22日、福島第一原子力発電所3号機の格納容器内部で、圧力容器の下で核燃料などの溶融物が冷えて固まり、岩状の塊として広がっている画像を公開した。固まった溶融物や構造物などが散在しており、中央では岩状の物体が広く積み重なっていた。燃料デブリやがれきの広がり方をおおむね撮影できたため、デブリの取り出し方法を検討するための重要な知見が得られたとしている。
3号機格納容器で水中ロボットを遊泳させて調査を実施。圧力容器を支える円筒状の架台(ペデスタル)の中にロボットを進入させ、デブリが溶け落ちたと考えられる地階を撮影した。ペデスタル地階の中央では岩状の固形物が広く積み重なっていた。ペデスタルの縁では砂状や小石状の固形物、形状を留めたまま落下した格子状床(グレーチング)などを確認した。
ペデスタル地階にあった作業員用の開口部は堆積物でふさがっていた。溶融物がペデスタルの外に広がっている可能性が高い。
調査ロボットは東芝と技術研究組合「国際廃炉研究開発機構」(IRID)が開発した。ケーブルが障害物に引っかかり、身動きがとれなくなると心配されていたが、機体は無事回収できた。撮影できた映像は画像処理で鮮明にし、格納容器の3Dモデルと照合して損害状況の分布を明らかにする。
さらに、得られた情報をもとに今夏中、デブリ取り出し方針を決める。3号機はシミュレーションしていた通り激しく損傷していたが、今回デブリへのアクセスルートや手法を一つ確立できたという。
次の課題はデブリの可能性が高い固形物の回収やデブリ取り出し方法の検証に、今回のアクセス手法を活用して情報を集めることだ。地階でロボットが受けた放射線量は6時間で約13グレイと大きくなく、カメラやセンサーを設置しても数日間は耐えられるレベル。遊泳ロボットの位置を測位するために周囲にカメラやセンサーを配置すれば複合的な測位が可能になるなど、今後より詳細な調査へ進む足がかりができたといえる。
(2017/7/22 23:30)