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[ 科学技術・大学 ]
(2017/7/26 05:00)
大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授らは25日、心臓の血流を正常に保つために患者へ埋め込んだ生体弁の内側に、カテーテル型の弁を新たに植える手術を世界で初めて成功させたと発表した。既存の生体弁は機能が劣化していたが、術後、患者の症状や心機能の検査結果が改善した。
体への負担が少ないカテーテル術での治療が可能となるほか、心臓移植までのつなぎとして期待される。2018年中にさらに4症例への処置を目指す。
患者は拡張型心筋症の60代男性。6月20日に手術を実施した。09年に重症心不全と診断され、左心房と左心室の間にある弁「僧帽弁」の置換術を受けている。一般的に生体弁は劣化するとされるが、実際に15年に機能異常が見られた。
研究チームは感染症のリスクなどから、低侵襲治療のカテーテル術で僧帽弁埋め込み術を行った。澤教授は、「カテーテルを使った低侵襲な治療が重症心不全患者に適応することで、治療戦略に大きな革新をもたらす」と期待を述べた。
心不全は国内に約100万人の患者がいるとされ、高齢化社会に伴いさらに増える予想だ。心臓移植の待機患者数や平均待機日数も増加しており、待機中の重症化への対処が急務となっていた。
(2017/7/26 05:00)