[ 機械 ]
(2017/8/2 05:00)
【トヨタ燃料電池フォークリフト】
豊田自動織機が2016年に日本で初めて市販した燃料電池(FC)フォークリフトで工夫したのは、変えないこと。もちろん、動力源は鉛蓄電池からFCユニットに変更したが、基本構造はベース車両である既存の電動フォークリフトを維持した。
豊田織機で産業車両を担うトヨタL&Fカンパニーの機種開発室の伊藤裕之グループ長は「車両サイズなどを変えてしまうとお客さんの工場や設備にも影響を及ぼす」と説明する。国内のフォークリフトのシェアで50%近くを占める豊田織機は、ベース車両が好評なため顧客に違和感を与えないように細心の注意を払った。
そこで動力源のFCユニットは、鉛蓄電池と同じサイズに収まるように設計した。FCは水素と空気の制御が重要で、通常は加湿器を使って空気加湿するが、加湿器レスを実現。豊田織機の技術・開発本部開発第二室の昆沙賀(びさか)徹室長は「自ら作り出した水を内部加湿にうまく利用することが大変だったが、これでFCユニットをコンパクトにワンパッケージ化できた」と言い切る。FCセルはトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」と同じものを搭載している。
水素の充填口や水の排水口は、車両の進行方向右側に集約し、使い勝手を高めた。車体カラーはFC専用色のミントブルーのほか、メタリックブルーもそろえた。豊田織機の標準車はオレンジだが、トヨタL&Fカンパニーの製品企画室デザイングループの佐藤良孝グループ長は「FCをこれから普及させていくために今回はイメージも意識した。お客さんの宣伝にもなる」と強調する。
現在、FCフォークリフトは2・5トン積みタイプのみで、水素充填時間は約3分。19年をめどに小型の1・8トン積みタイプの発売も計画する。さらに「ローカルの水素社会の拠点として貢献したい」(豊田織機の技術・開発本部企画戦略グループの鈴木宏紀グループ長)と、FCフォークリフト向けの水素充填設備が整備されるメリットを生かした将来構想を思い描く。(名古屋・今村博之)
(2017/8/2 05:00)
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