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中小企業優秀新技術・新製品賞 開発の舞台裏(11)優秀賞−湯山製作所

(2017/8/10 05:00)

薬剤師のストレス軽減

■散薬調剤ロボット「DimeRo(ディメロ)」

  • 調剤前の薬品を入れておくカセットが最大30個収まる(北村取締役〈左〉)

「顧客のニーズからチャレンジしたが、このような製品をいつか作りたい、という願望は昔からあった」。湯山製作所(大阪府豊中市、湯山裕之社長、06・6332・1315)の北村光一取締役開発部長は、粉薬を全自動で調剤できる散薬調剤ロボット「DimeRo(ディメロ)」の誕生秘話を、このように切り出す。

薬剤師は従来、処方箋の薬品を取り出し必要な量を計算したり、調合であれば混ぜたりするまでを手作業しなければならなかった。薬品の取り違えや計量を誤る不安と、それらを防ぐ検査の負担は時間的にも精神的にも大きい。同ロボはこうした調剤工程を、完全に自動化する。

北村取締役は「薬剤師はストレスから解放され、患者と接する時間が増え、本来求められる細やかな服薬指導が可能になる」と、意義を強調する。

開発を始めたのは2010年。「調剤前の薬品を入れておくカセットや、調剤薬を分包の袋に注ぐホッパーの数はいくつ必要か」。薬剤作業の自動化機器を得意としてきたが、同ロボに前例はなく、基本設計から手探りだった。

難しかったのはカセットの形。初めは円すいが最適と考えたが、先が詰まり薬品をうまく送り出せない。形が決まらず3年費やし、今の直方体にたどり着いた。さらにカセットの樹脂材料も工夫すると、薬品をスムーズに送り出せた。

送り出す力には圧電素子の振動を利用し、モーターを不要にした。カセットを搬送する腕型ロボも独自に開発した。これらの技術などで、調合や分包まですべて自動化。14年には展示会へ参考出展し、15年に発売した。

顧客は処方数の多い大手薬局や病院。「これまで230台と予想以上に売れた。競合機はない」(北村取締役)と独走する。1薬品当たりの最少調剤量は2グラムだったが、0・5グラムまで少量化する機種も開発し、17年1月に投入した。調剤量を大人より少なくする必要がある小児科に適する機種として、新たな需要も創出する。(大阪・田井茂)

(木曜日に掲載)

(2017/8/10 05:00)

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