[ 機械 ]
(2017/8/11 05:00)
【近赤外光カメラシステム LIGHTVISION】
島津製作所の近赤外光カメラシステム「LIGHTVISION(ライトビジョン)」は、乳がん手術時にリンパ管を可視化し、乳がん転移診断を支援する。手術中に乳がん細胞に最も近い、直径数ミリメートルのリンパ節(センチネルリンパ節)を病理診断のために切除する際に正確な位置が分かる。「必要な部分だけ切除する縮小化手術」(清水裕治医用機器事業部マネージャー)の術中支援に役立つ。
画像化する仕組みは、リンパ管に投与した薬剤であるインドシアニングリーン(ICG)に、近赤外光を照射してエネルギーを高める励起を促し、ICGから発生する微弱な近赤外蛍光を撮影しリンパ管を画像化する。
画像はハイビジョンセンサーを用いて高精細に表示する。これにより、蛍光を発するリンパ管を明瞭に確認できる。画像は可視、近赤外蛍光、可視と近赤外蛍光の三つの画像を同時に表示できる。このためICGにより光る部分と、可視で見える周囲組織との対比が可能。手術中の医師に対して、多くの情報を提示できる。
撮影するカメラ部は照明用の発光ダイオード(LED)、近赤外光を照射するライトにより熱がこもりやすい。放熱ファンは手術室のため使えない。そこで「熱伝導による放熱や電子基板の配置、熱源を装置本体に移した」(医療機器事業部技術部開発グループの石川亮宏グループ長)。こうした組み合わせの工夫により、熱がこもる課題に対処した。
本体や操作部のデザインは、担当者が「手術室を見学した上で行った」(舘昌邦総合デザインセンター主任)。手術ベッド周辺は機器が並び、医師、看護師、技師がいる。混み合った現場を見て本体は出っ張りをなくし、コンパクトにした。カメラのアームが水平に約180センチメートルまで伸ばせるのも、医師などを邪魔しないためだ。リモコンは手術前、手術中の操作を把握し、主に手術前と手術中に使う部分に分けている。画像の鮮明さ、カメラ位置が固定されることなど製品の評価は高いが、本格的な普及はこれからだ。(京都・水田武詞)
(2017/8/11 05:00)
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