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[ 建設・住宅・生活 ]
(2017/8/18 05:00)
ゼネコン大手が高層ビルの解体工法を高度化している。大成建設は仮設屋根を設け、鉄筋コンクリート造(RC造)の建物に適用できる解体工法を開発。大林組は組み立てや取り外しの手間が省ける移動昇降式の足場を用いる解体工法を開発した。今後増加が予想される高層ビルの解体需要に対応する。建て替え工事で新築工事の受注に有利となる解体工事に力を入れる。
大成建設は建物最上部に仮設屋根を設けて上部から解体する新工法「テコレップ―light」を開発した。既存の解体工法は建物の最上階を屋根として使っていた。新工法は軽い仮設屋根を設置し、最上階を含めた各階の床を解体していく。
屋根部分の重量が3分の1になるため、解体時の柱の補強などが不要で工期を短縮できる。従来の鉄骨造に加え、躯体重量が重いRC造の建物にも適用できるように汎用性を高めた。
大林組は建物の床や柱などを部材ごとに切断して解体する「キューブカット工法」で、移動昇降式の作業足場を設置する工法を開発した。解体する建物の2階分の足場を確保し、解体作業に合わせて移動可能。地上から足場を組んだり、解体が進むごとに足場を取り外したりする作業を省ける。
鹿島は都市部の再開発工事で大型の杭(くい)の解体で使える「パイルMB工法」を開発した。既存工法の5―6倍に当たる10メートル程度の深さまで爆薬で発破できる。地中での発破により、騒音や振動を抑えられる。3件の適用実績があり都市部を中心に杭解体工事で活用する。
国内では建築後30年を経過した10階建てのビルは8000棟以上とされる。特に1970―80年代以降からは100メートル以上の高層ビルが増加。騒音や振動、粉じん、安全対策が必須で、短工期で高度な解体工法が求められる。ゼネコン大手は技術力を生かして解体需要を取り込み、新築工事の受注獲得を狙う。
(2017/8/18 05:00)