[ オピニオン ]
(2017/8/21 05:00)
安倍晋三政権が掲げる働き方改革は、秋の臨時国会で本気度が問われる。政府は残業時間の上限規制や同一労働同一賃金、「脱時間給」制度を盛り込んだ法案を提出する方針だ。働き手の創造性が一層、求められる時代には、いずれも不可欠の制度といえ、早期成立を望みたい。
今回の法案は、2年以上も店ざらしされてきた従来の労働基準法改正案とは別物である。政労使で議論を重ねた「働き方改革実行計画」がベースにあり、残業時間の上限規制のほか「同一労働同一賃金」の推進などが掲げられている。
経済界が長らく求めてきた一部専門職を労働時間規制の対象外とする「脱時間給」についても、働き方改革関連法案として一本化し、早期導入を目指す。先の内閣改造で厚生労働相に就任した加藤勝信氏は、働き方改革担当相として「実行計画」を取りまとめてきただけに、主導力に期待したい。
残業に上限を設ける一方で、脱時間給を導入すれば、成果を求めるあまり長時間労働を助長しかねないとの声がある。しかし効率的に働くことで生産性が高まれば、労働時間の短縮につながるはずだ。
成果で評価される働き方は価値創造の観点からも重要だ。経済同友会は、シェアリングエコノミーに象徴される新たな概念が誕生するなか、革新的なサービスで世界をリードするには「プロとしての矜恃(きょうじ)を持つ人が能力発揮できる社会インフラの早期整備」を求めている。
そもそも若者の比率が高い人口ボーナス期と、少子高齢化が経済成長の重荷となる人口オーナス期では、働き方が異なる。経済が発展途上で重工業の比率が高い人口ボーナス期には安く大量に作ることが、競争を勝ち抜く必須条件。そのためには「男性」の「正社員」が「長時間」働くことが必要だった。他方、価値創造を競い合う人口オーナス期には、限られた労働力およびその多様性をフル活用しなければならない。
日本は今後、何を強みに発展を遂げるのか。成長戦略の観点から働き方改革に挑みたい。
(2017/8/21 05:00)
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