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[ 科学技術・大学 ]
(2017/8/23 05:00)
東京工業大学地球生命研究所の兵頭龍樹特別研究員や玄田英典特任准教授らは、火星が巨大天体と衝突し火星衛星が誕生したと仮定したシミュレーション解析で、巨大天体衝突説を支持する結果と矛盾しないことを明らかにした。火星の周囲には直径20キロメートル程度の二つの衛星「フォボス」と「ディモス」が周回。両衛星が0・1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の微粒子と100マイクロメートル―数メートルの粒子で構成されており、火星衛星に火星本体のマントル物質が存在する可能性を示した。
火星衛星は巨大天体衝突説以外に、外から飛来した小惑星が火星の重力に捕獲されたとする説が提唱されていた。
シミュレーション結果から、両衛星の構成物質の半分が火星由来、残りが衝突した天体由来であることを明らかにした。さらに火星衛星が含む火星由来の物質の半分は衝突当時の火星の表面の層から50キロ―150キロメートルの深さで掘削された火星のマントル物質であることを確かめた。
米航空宇宙局(NASA)は火星に探査機を着陸させ火星物質を地球に持ち帰る計画を立てているが、火星表面の物質しか回収できない状況。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は「火星衛星サンプルリターン計画」(MMX)に使う探査機の2024年の打ち上げを目指す。巨大天体衝突説が正しければ火星のマントル物質を火星衛星から採取できることになる。火星衛星から持ち帰った試料を調べることで火星の情報の詳細が分かり、将来の火星移住計画の知見となることが期待される。
成果は米科学誌アストロフィジカル・ジャーナルの電子版に掲載された。
(2017/8/23 05:00)
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