[ 機械 ]
(2017/8/28 05:00)
【スカイビング加工専用機「SKV―8」】
スカイビング加工は、刃物台に取り付けた直線の刃を持つ工具を、回転する円筒状の加工対象物(ワーク)に対して上下に動かして表面をそぎ取る加工法。加工時に刃とワークが線で接するため、点で接している通常の旋削加工のような、らせん模様がつかず、低い表面粗さで仕上がり研磨工程が不要になる。高松機械工業の「SKV―8」は、そのスカイビング加工専用機として開発された。
きっかけは自動車メーカーからの打診だった。実用化できれば、オイルシール部の加工が集約できる。加工そのものは旋削に似ているため既存の複合加工機でも可能だった。だが要求される精度が出ない。「機械の剛性を高める必要があった」(技術部開発課の石野嘉章氏)。
加工時には工具とワークが線で強く接して、なおかつ互いが逃げてはいけない。とはいえ単純に頑丈にするために大きく重くはできない。大柄の機械は自動車メーカーの生産ラインには合わないからだ。ただ小型の機械は本来、高松機械が得意とするところ。開発陣の血が騒いだ。
まず、ベッドを従来機と比較して25%重くした。摺動(しゅうどう)部は、まっすぐで剛性を備えた構造とした。シャフトなど長尺のワークの加工に備え、高剛性の芯押し台も開発し、標準搭載した。
見た目もこだわった点。旋盤と異なる印象を心掛けた。同社の共通デザインであるステンレス製のカバーラインに、スカイビング加工用の工具をイメージした、くさび型の意匠を施した。
スカイビング加工は日本より欧州で研究が先行した加工法。しかし最近は日本でも工具の開発が進み、今後の展開が期待されている。そうした中、高松機械は省スペースで生産ラインを短くできるSKV―8を投入した。開発を進める過程で「旋削以上研磨未満」(二輪聡営業技術課係長)という需要がはっきりと見えてきたという。スカイビング加工専用機の開発は、旋削でもなく、研磨でもない新たな選択肢を示した。
(金沢支局長・本荘昌宏)
(2017/8/28 05:00)