[ 機械 ]
(2017/8/29 05:00)
【マルチアングル分光測色計】
自動車にとって、色は個性を表現する重要な要素だ。パール系など角度によって変わる色もあり、ドアミラーなどの曲面は複雑に光る。色や形といったデザイン性にこだわるほど、色の計測にも高度な技術が求められる。
コニカミノルタのマルチアングル分光測色計「CM―M6」は、複雑な色に対応するため、6角度で計測する。産業光学システム事業本部センシング事業部開発部の山口亘係長は、「前モデルの3角度で計測しにくい角度で特色の出るものが増えきていた」と話す。
初期段階から開発部門とデザイン部門が連携し、中身を構成するユニットの大きさや配置と、筐体(きょうたい)などのデザインとを、同時進行で詰めていった。グローバル展開をにらみ、欧米の大柄な男性からアジアの小柄な女性まで、体格の違う人たちが複数タイプの筐体の使い勝手を試し、デザインを絞りこんだ。「長時間使うため、負荷にならないことが重要だ」(ヒューマンエクスペリエンスデザインセンターの河村透担当課長)。
天井やドア、バンパーなどへ、腕を伸ばしたり、かがみ込んだり、いろいろな姿勢を試した。「最終的に、片手でも両手でも、どんな持ち方でもしっかり持てるシンプルな形に決まった」(同センターの吉田英史氏)。また、測定開始ボタンを正面と側面の2カ所に配置し、どんな握り方でも押しやすくした。
CM―M6は、光を対象物に当て、反射した光を計測するのだが、測色計内の光の通り道に光ファイバーを採用することで、前モデルより小型化した。光の通り道を曲げられるため、「中身を自由に配置できた」(産業光学システム事業本部センシング事業部開発部の阿部芳久グループリーダー)。
また、曲面などでも安定して計測できるように、新たにダブルパス光学系を開発した。通常、計測器本体が傾いた状態で測定すると値がずれる。CM―M6は、ダブルパス光学系からの2種類のデータを高速で演算し、相殺することで補正している。
(梶原洵子)
(2017/8/29 05:00)