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[ 科学技術・大学 ]
(2017/8/31 05:00)
京都大学iPS細胞研究所の森実飛鳥特定拠点助教と高橋淳教授らは30日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の神経細胞を他家(他人)移植する際、「主要組織適合抗原」(MHC)の適合の有用性が重要と分かった発表した。カニクイザルでiPS細胞由来ドーパミン神経細胞のMHCが適合すると、免疫反応が抑制、生着率が向上した。ヒトの白血球抗原(HLA)適合に相当する。iPS細胞による再生医療の臨床戦略に貢献する。
カニクイザルからiPS細胞を作製し、ドーパミン神経細胞に分化させた後、MHCが適合するサルと適合しないサルに移植。それぞれに免疫抑制剤を投与した場合も調べた。
MHC不適合のサルの場合、移植後3カ月で免疫反応による神経細胞の炎症が発生したが、MHCが適合すれば抑制できた。免疫抑制剤で適合させた時と同程度の効果だった。また、移植から4カ月後の生着率は、MHCの適合により2―3倍高くなっていた。
MHCは免疫反応に必要な情報を含む遺伝子領域。臓器移植の拒絶反応に関与。成果は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に公開された。
(2017/8/31 05:00)