[ オピニオン ]

社説/ルノー・日産・三菱連合−部品共有を拡大、問われる差別化

(2017/9/26 05:00)

ルノー・日産・三菱自動車アライアンスが2022年までの中期経営計画を発表した。最終年の世界販売台数は16年実績比約4割増、年平均5・8%増となる約1400万台を計画する。世界市場全体の伸び率に比べ2倍以上の高成長を想定しているようだ。

発表で目についたのが部品共有化の拡大である。「CMF」と呼ぶモジュール設計手法を取り入れたプラットフォーム(車台)の適用範囲を広げ、16年の年間200万台規模から最終年には同900万台に増やす。

同様の手法「TNGA」に基づくトヨタ自動車の新世代の車台が、20年頃に年間500万台規模(15年時点での想定)の適用を目指しているのと比べても共有化範囲の大きさが分かる。これらによる「シナジー効果」は22年に年間100億ユーロと16年に比べ倍増。年間約10%ずつ積み増していく計算になる。

こうして得た資金を、どこに振り向けるのか。22年までに電気自動車(EV)を12車種発売するなどして、電動化車両の販売を全体の約3割、420万台まで増やすという。EVのみの販売目標については今回明示しなかった。

また22年にはドライバーの関与が不要な完全自動運転車両を投入する。電動化や自動運転といった、今後自動車業界が受けると見られる大きな変化の波に、真正面から向き合う内容となっている。

重要なのは、部品共有化の拡大で、各社各ブランドの魅力が損なわれては意味がない。これまでもルノーと日産の間でプラットフォーム共有化を相当進めてきているが、さらに三菱自が加わることになる。

三つの自動車メーカーの特徴を生かし、事情をくみ取りながらプラットフォームやエンジンのような重要部品を共有化するのは、並大抵のことではない。

今はカルロス・ゴーン氏が3社の会長を兼ねる。日産と三菱自のCEOには西川広人、益子修の両氏を当てて権限移譲を図っているが、ここまでの巨大組織をどううまく運営していくのか。再び手腕が問われる。

(2017/9/26 05:00)

総合4のニュース一覧

おすすめコンテンツ

ゴム補強繊維の接着技術

ゴム補強繊維の接着技術

事例で解決!SCMを成功に導く需給マネジメント

事例で解決!SCMを成功に導く需給マネジメント

集まれ!設計1年生 はじめての締結設計

集まれ!設計1年生 はじめての締結設計

これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック

これで差がつく SOLIDWORKSモデリング実践テクニック

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

NCプログラムの基礎〜マシニングセンタ編 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

金属加工シリーズ 研削加工の基礎 上巻

Journagram→ Journagramとは

ご存知ですか?記事のご利用について

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

電子版からのお知らせ

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件の記事を保存することができます。

ログイン