[ オピニオン ]
(2017/10/11 05:00)
品質管理に関して、神戸製鋼所、日産自動車という日本を代表する大企業の不祥事が相次いでいる。品質はモノづくりの根幹であり、企業経営者は原点に立ち返り、対策を進めたい。
神鋼はアルミニウム・銅製品で検査データを改ざんしていたと発表した。取引先と決めた強度などの基準に合っていないのに、適合したかのように検査証明書を書き換えていたという。
モノづくりの基礎となる素材分野での偽装は深刻だ。製品はトヨタ自動車、日産、ホンダなどの一部車種や、JR各社の新幹線車両、三菱重工業の「H2A」ロケット、三菱航空機の小型旅客機「MRJ」など幅広い分野で使われ、納入先は200社に及ぶ。
神鋼は2008年に子会社で鋼材の強度偽装が、16年には関連会社でデータ改ざんが発覚している。度重なる不祥事のダメージは避けられないだろう。
一方、日産はグループ6工場で、検査員の資格がない従業員が完成車検査を担当していた。国土交通省の立ち入り検査で発覚し、38車種116万台をリコールするという。
膨大な費用がかかるだけでなく、販売店やユーザーにも迷惑がかかる。日産は16年、燃費データ改ざんに揺れた三菱自動車を傘下に収めたばかり。不正が割に合わないことを学ばなかったのだろうか。
不祥事は防げないのか。樋口晴彦警察大学校教授は日刊工業新聞社のニュースサイト『ニュースイッチ』の連載で「病気を治療するには、症状を緩和する対症療法だけでは不十分であり、病因をつきとめて除去することが必要。しかし多くの企業では、リスク管理に失敗したという症状だけを問題視して、その背後にある病因に目を向けていない。病因がよく分かっていなければ、その対策が的外れになるのも当然」と記す。
数万人もの従業員を抱える大企業では経営陣が隅々まで目配りするのは難しいが、常に自社の病巣を洗い出し、処置していくことが求められる。他山の石として何回も社内を見回してほしい。
(2017/10/11 05:00)
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