[ オピニオン ]

社説/総選挙あす公示−理念より実効性ある経済政策を競え

(2017/10/9 05:00)

衆院議員の総選挙が10日に公示される。22日の投開票に向けて、各党と候補者は政治理念だけでなく、実効性ある経済政策を競ってもらいたい。

総選挙は政権選択の側面を持つ。安倍晋三首相にとっては、第2次政権発足から2度目の審判だ。公示直前に野党第1党の民進党が事実上、解党となったことは与党に有利に働こう。

小池百合子東京都知事が率いる希望の党は、民進党の一部を吸収して影響力を急速に高めた。過去の選挙戦でも「清新な保守」は有権者の支持を集めやすい傾向がある。

民進党の別の一部は、第三極となるリベラル勢力の結集に動いている。新たな構図によって総選挙の行方は不透明となり、結果いかんでは連立の組み替えなども否定できない。

産業界は長期安定政権を望んでおり、大勢は与党支持である。ただこの選挙を通じて、経済政策にかかわる民意に変化が生じるかどうかを冷静に見極める必要があるだろう。

希望の党は消費税率の10%への引き上げ凍結や、2030年までに原子力発電所を稼働ゼロにすることなどを公約に掲げる。しかし日本の将来を考えると、増税による社会保障財源の確保と財政再建、化石燃料依存度を下げるエネルギー安全保障は避けて通れない。もし具体性のない人気取りの公約にすぎないのなら、かつての民主党政権の失敗を繰り返すだろう。

他方、自民党が憲法改正を正面から公約に掲げたことは、国民の審判を問うという点で評価できる。あとは新たに提唱する「生産性革命」や「人づくり革命」をかけ声に終わらせず、停滞気味の経済政策「アベノミクス」を前進させることを民意に訴えてもらいたい。

保守とリベラルの路線対立や憲法問題、北朝鮮問題も今回の主要な争点のひとつ。18歳が投票権を持つ初の総選挙であり、議席数が戦後最少の465に減るなどエポックもある。とはいえ、日本経済の前途は楽観できる情勢にない。理念先行ではなく、国民の生活を守る経済政策の議論が待たれる。

(2017/10/9 05:00)

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