[ 政治・経済 ]
(2017/10/11 13:30)
火力発電対象、地球温暖化対策後退
【ワシントン時事】トランプ米政権は10日、火力発電所からの温室効果ガス排出削減を義務付けた「クリーンパワープラン」を撤廃すると正式発表した。規制撤廃で経済への負担を減らすのが狙いだが、オバマ前政権の政治的遺産である米国の地球温暖化対策への取り組みが後退する恐れがある。
環境保護局(EPA)のプルイット長官は、撤廃を始める手続きに署名。声明で「オバマ政権はクリーンパワープランで法的権限を逸脱した」と批判した。EPAによると、規制撤廃で2030年に最大330億ドル(約3兆7000億円)の経済負担がなくなるという。
この規制は、既存発電所からの二酸化炭素(CO2)排出量を30年までに05年比で32%削減することが柱。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」をめぐり、米国が目標を達成する上でカギとなる政策とされてきた。
しかし、再生可能エネルギーへの移行を促し、石炭産業などに打撃となることから、トランプ大統領が3月に撤廃の大統領令に署名。6月にパリ協定からの離脱を表明した。
EPAは今後、代替規制案をまとめる方針。米メディアによると、規制撤廃に反発するニューヨーク、マサチューセッツ両州などが提訴する構えを見せている。
(2017/10/11 13:30)