[ 人物 ]
(2017/10/30 05:00)
学生時代の思いかなう
「身近にあるものを作りたい」−。三菱鉛筆の花谷沙希さん(33)は、ボールペンインクの生産性向上に従事している。「一般消費者向け製品の製造に関わりたい」という大学院時代に抱いた思いをかなえた。現在、生産技術部で各種薬品などを配合し、性能を変えずにインクの量産効率を上げている。ペンにした時の品質向上にも挑む。「ペン全体の構造をイメージしながらインクと向き合う」と明かす頼れる入社9年目だ。
筆記の品質向上 思い描く
ボールペンはペン先のボールやペン軸など、多くの部品が組み合わさっています。私の仕事はインクの品質向上ですが、常に筆記のメカニズム全体をイメージしています。横浜市立大学大学院で酵素の反応メカニズムを研究して身についた「全体を見ながら現象の原因を追求する姿勢」は、今も私の強みになっています。
入社から8年間は水性ボールペンのインクに携わってきました。新製品の立ち上げを任された際は、誰に何を聞けばよいかすら分からず、苦労しました。ただ、おかげで普段関わらない部署の方々がどういう視点でモノづくりをしているのかを知ることができました。研究者は、ときに品質にこだわるあまり視野が狭くなりがちです。製品全体を見られるようになったのは大きな収穫でした。
大学院時代の研究と違って担当する仕事が幅広く、多種多様の知識が必要となります。外部機関の講習会や社内の勉強会を積極的に利用しています。4月からは担当が油性インクに変わったので、さらに知識を強化しています。将来的にゲルインクも担当し、ボールペンのインクを制覇したいです。
気分転換方法は読書です。休日に本屋巡りをしながら、好みの小説を探します。通勤に片道1時間半ほどかかるので、1日で1冊読み切ってしまうこともあります。
(文=南東京・門脇花梨、写真=北山哲也)
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◇三菱鉛筆 生産技術部 群馬グループ
(2017/10/30 05:00)